株式会社名港葬儀 代表取締役 草野 信也様 インタビューNO.3
◆結び癖
草野さん:アイデアがどんどん出てきて、こうしたい、ああしたい、
というのがいっぱいある。
だから面白い。いろんな会合に行って、何かコラボできないかとか考えて、
いろんなことがしたい。仕事を結びつけるのが癖。しょうがない。笑
田畑:その結びつける考えが出てきたのは、
草野さんが5代目になってからではないですよね?もっと以前から?
草野さん:はい。社長になってからではないですね。前からです。
4代目の時、従業員でありながら社長代行をやっていたんです。
実際、5年ちょっとは社長業としてはやってはいるんですね。
4代目になった時に、社内のことは、全て私がやっていた。やらなければ潰れてしまう。
給料もらえなかったら困るし。笑
田畑:そーいえば、初めてあった時、先代が自殺したと聞きましたが。。。
草野さん:はい。3代目が飛び降り自殺したんです。会社のことを思えば、
飛び降りはしないでほしかった。ウツにかかってしまって、死のうと道路に飛び出してしまう。
ご近所さんもドン引きしてしまいました。しかも、3代目(娘さん)と4代目(娘婿さん)が離婚裁判もあった。
くちゃくちゃ。
しかも、そんな時に、番頭さん、お金もって500万もって逃げるし。。。。
田畑:マジですか!?だから、「俺がやる!」って話にしたんですね…。
草野さん:いろんな活動をしたり、組織化したのは、私の代からですが、従業員の時から、
社長代行をやっており、今と同じ仕事内容をやっていたんです。
◆なんでオレがやらなアカンねん!って思わない?
田畑:私でしたら、従業員の時、そんな状態だと、
「なんでこれを俺がやらなアカンねん!」と激怒しそうですが。
草野さんは、そんな想いはなかったんですか?
草野さん:うーん、そんなことよりも、お客さんが困るのが嫌でしたね。
何でもそうですが、チラシでも、相手が読みやすいように、伝わるようにっていうことに想いがあります。
田畑:なるほど。相手に伝えたいという気持ちがあって、そこに視点がいっていますね。
「なぜ俺がやらなきゃいけないんだ」という自分視点ではなく、
これをやることによって、お客さんがどうなる、という視点でたつと
そんな風に思わないという現実が待っている感じがしました。
自分に矢印むくのか、
いいものをつくってお客さんがどうなるのか、という所を見る矢印にするかで、
違うんですね。
草野さん:うん。そこはこだわりますね。お客さんありき。
例えば、ビラとか、高齢者対象に対しては、おばちゃんが読めないチラシをつくっても
しょうがないわけですよ。色盲の人もいますし。伝わらなければ、意味が無い。
田畑:それだけの想いをもっている人はなかなかいない。
以前のサラリーマンの私は、結構、自分視点だったと思う。お客さんが困っているのだから、
それに対して気持ちを考えて、そこにフォーカスする。草野さんは、それをもともと持っていますね。
草野さん:そう?わからない(笑)
◆社員と社長の意識の差
田畑:少なくとも、先代の社長さん達は、自分視点だったと思う。だからうまくいかなかった。
草野さん:常にお客さんを見る。お客さんの気持ち。その気持ちを叶えるため、
自身を整えなければならない。なので、自分の働きやすい環境を自分でつくるんです。
田畑:なるほど。中小企業さんを見ていると、私も従業員だったのでわかるのですが、
社員と社長の(お客さん目線やお客さんへの想いの)意識の差が、
少なからずあると思うのですが、草野さんはどのように感じてますか?
草野さん:まあ、それを一緒にするのは無理な話。自分目線でなければいい。
お客さんの目線であればいいと思っています。お客さんのために思って動けばいい。
社員が、お客さんに何かやってあげたいなら、いいよって言う。プランに入っていなくても、
花や故人の好物をお供えとして提供してあげたいんだったら、OKですよね。
逆に、もっと自分で考えてやってちょうだいって思う気持ちがあります。
逆に社員からやってみたい、やりたい!と言ってほしい。
私は「やっていいよ」というだけです。笑
田畑:社員さんが自由に出来る環境をつくってるんですね。
草野さん:そう。勝手にやってくれる方がいい。楽しいし。こっちも楽。笑
少人数でやっている分、ガチガチに固めたくはない。
ただ、社員さんには、一応一言だけ報告ちょうだいねということだけです。
私の性格もあると思うのですが、自由がないと窮屈。
◆周りの目を繊細に感じる
実は社長となってから、奥さんが「働こうか?」と言ってくれたけど、「いらん」と言いました。
社員も、奥さんがいると気を遣う。
そして、この建物の5Fでただで住めたけれども、、、。通っているんです。
社員が働きづらくなると思うんです。
田畑:そこは、とても気を遣っているというか、繊細ですよね。
周りからどのようにみられているか?って感じているんですね。
草野さん:当たり前ですが、横断歩道でほんの2~3mのところでも、信号無視はしない。
小学生の子供とかもそんなのは見ているし模範でありたい。
そして、タバコも。
私はタバコを吸いますが、会社の建物の前や付近では、従業員含めタバコは吸っていません。
他の人が見て嫌だなと思うことはもちろんですがしません。協力企業の皆様も同じ。
田畑:そんな価値観をもってやっているのが自然体。私利利欲は置いておいて、という感じが致します。
草野さん:給料などでも、多くをもらってもいいけど、7割くらいは広告宣伝費にまわせばいいと思っています。
会社あっての私ですから。そして、利益なくしての社会貢献は出来ない。
田畑:そうそう。私もいろんな人と対話させて頂いている中で、上手く行っている人はお金を溜め込んでない。
何か入ってきたお金を流す作業をしている。将来のために、投資するために何が出来るか、
投資→回収をうまく回している人が、中小企業の社長さん、フリーランスの人で、うまくいっている。
草野さん:はい、サイクルは大切だと思います。
田畑:お金は生もの。うまく流す。川とドブの違い。新しい水、お金を流してやるというのは、
そんな人達は感覚的に知っているんですね。
草野さん:私は、魚と一緒と捉えてる。生ものなのと、エネルギーなので動き続ける必要がある。
それは、誰に教わったということは無いけど、わかりますね。
田畑:草野さんは、人生や実際の生活の中で学ばれて、力となっている感じがしますね。
◆知識ではなく経験を
草野さん:あまり難しいことはわからないけれど、自分に変化をつけていかなければならないとは思っている。
そして、いつも具体的に知りたいなと興味をもっていますね。
田畑:興味ですね。頭でっかちで、知識だけ入れて、わかった気がしている人もいると思うんですよね。
知識が入って、わかった気になるんだったら、知識なんかいらない。
目の前にいる人や現象から学ぶことが大切。体感して経験して学ぶ。
あまりにも、情報が氾濫しているので、体感・経験していないのに、もう知っているように感じてしまう、
勘違いが反映している感じも受けます。(私もそういうことが多いのですが…苦笑)
草野さん:一回○○○研に行ったんですね。知識・頭だけでしたね。
「一歩外に出てしまうと何だったけ?」となっちゃった。
知識だけでなく、裏づけされたものが無いとお客さんは納得しない。
田畑:私も研修会社をやっているのですが、権威をもっている人の知識をもって生きるのか、
自分で経験・体験したことをもとに、やっているのかで、伝わり方が雲泥の差がある。
それを考えると草野さんは経験、体験で生きてこられたので、自然体だし、なぜかとても伝わりますね。
草野さん:自分が、経験・体験した方が面白い。
◆名港葬儀、葬儀一担当制の強み
田畑:あっーーーーー、もうだいぶ時間が過ぎてますね。
約束の時間過ぎていますが、大丈夫ですか?申し訳ありません。熱中しすぎました。
唐突ですが(笑)、草野さんがアピールしたい商品などありますか?
草野さん:アピールしたい商品ですか。笑
うちの一押しは、「葬儀一担当制」です。従業員のお葬式に対して情熱が注げる。
他社にない細かいケアが出来る。これが強みです。
田畑:葬儀一担当制なんですね。大手さんなどは、どうやっているんですか?
草野さん:そーですね。大手さんは、各担当者数人で1つの葬儀をおこなっています。
夜間受注の人、お通夜担当者、葬儀担当者、集金の人、香典返し、お墓等々、
みんなバラバラなんです。私どもは、お通夜と葬儀一連の流れなので、一担当者がつきます。
夜間受注担当者だけ違う場合がありますが。
そのほうが、喪主さんも安心するんですね。
一人の担当者なので、いろんな相談もしやすい状況にしています。
大手だと、担当者の引継ぎがうまくいっていない場合があり、通夜と葬儀の引継ぎがうまくいかないんです。
喪主さんに「これ何でしたっけ?」と葬儀担当者さんが聞かないといけない状態となる。
バトン式なので、うまく伝わっていないとクチャクチャになる。
そして、新卒などで、業界経験が無いと難しい職種でもあります。どうしても言葉が軽くなったりしてしますんです。
弊社は一担当制で経験豊富なスタッフがいますので、ご安心して任せて頂きたいと思います。
そして、良いか悪いかはわかりませんが、私自身が担当するときもありますので、
その時社長と名乗らず、一担当として、お葬式をやらさせて頂いています。
田畑:相手に気を遣わせないようにですよね。
草野さん:そうです。
◆終活の大切さ
田畑:そろそろ、まとめさせて頂きますね。
今日、インタビューさせて頂いて、
私は「死」ということを直面させる場所、そんなサロンなどがあるととても良いと思いました。
言い方悪いですが、
一度の人生をダラダラと過ごしている人もいる中で、
「死」を直面することで「生」が活きてくる感じがしましたので、それがとてもいいと思いました。
社会全体も、時代もそちらに向かっている気がするからです。
草野さん:ホント、そうですね。
終活をして、自分の最期を決めてしまえば、この後とても人生楽しく、気が楽になると思う。
「私ポックリいってもいいわ」となる。
そういう、裏打ちしたもので人生を謳歌してもいいじゃないかと思うんです。
そんなことを感じられる場所にしたい。サロンも1店舗だけではなく数店舗もちたい。
田畑:今、草野さんの話を聞いて、子供の夏休みの宿題のイメージを持ちました。
私も小学校の時そうでしたが、8月末で宿題をバタバタやってしまっていました。
それを7月中に宿題終わらせておこうよ。って感じ。宿題終わって、すっきりして8月を過ごしましょうよって感じがした。
そんな感覚?
草野さん:そう(笑)7月中とは言わないまでも、1日1ページやっていく。
田畑:子供の宿題は学校から出されるけど、そんな仕組みで社会に提供しているところってないと思う。
草野さん:ないですね。
田畑;ぜひとも、新しい価値を社会に提供していってほしいと思いました。
私の「してほしい」という表現が何か他人任せな感じですが、それに対して何か手伝いたいです。
◆事前にお墓に行きましょうツアー、散骨模擬体験ツアー
草野さん:勉強したいというシニアの人はいっぱいいる。だから、シニアセミナーとかやりたい。
その人達に認定を渡して、終活のアドバイザー、インストラクターみたいになって、
次の世代に伝えていけるようになりたい。
宣伝塔。いろんなことをつくる場所をつくる。
事前にお墓に行きましょうツアーなどね。笑
今、実際9月9日に散骨模擬体験ツアーをやります。
実際の海に行き、散骨するポイントまで行って、散骨します。模擬なので、塩なんですけど、、、。
そして、追悼の場所で写真撮影します。
田畑:「死」というテーマで、それに反しての楽しい感じの「ツアー」をやるのがすごく興味深い。
草野さん:そうですよね。体験型にしたいんです。これから「自分の骨壷をつくろう!」とか、
瀬戸、常滑などに行ってやりたいのもあります。活性化したいですね。
田畑:今までタブーなところを楽しく表現して、身近なこととして受け入れられていくというのが
とても良い感じがしました。
草野さん:体験型、セミナーなどやっていき、お客さんを飽きさせない。
面白い場所をつくっていきたい。
「名港葬儀さん、今日何やってるの?」というので、面白い場所をつくりたい。
活き活き終活セミナーみたいなのもやりたい。
田畑:葬儀って敷居が高い、一般的には縁がないところ、
そんな敷居を全部ぶっ壊す、そんな活動をやっていくんですね。
草野さん:そうなんです。先日も、シンガーを呼んだり、お坊さんで唯一の落語さんをやっている方をよんで、
歌ったり、落語をしてもらったりした。
遊び心なんです。
また、入り口でロウソクなど、寿司のロウソクとか、珈琲カップのおロウソクなど販売していますよ。
田畑:そのロウソク帰り見させてくださいね。
死に対しての軽さというか、身近さ、が今後は求められていくと思います。
私個人の意見では、「死」は特別なものとしての意識をもたせて、
葬儀屋さんは敷居が高く、何か特別なものとしてみていた感じ
がします。草野さんからはそんな雰囲気が全くない。
草野さん:そーですか?笑
町内の人と飲んで、深夜2,3時でも遊ぶし、ワイワイやってるからかな。だから、みんなと繋がるですけどね。笑
田畑:私の意見として、葬儀屋さんの社会のイメージをぶっ壊したいと思いました。
◆葬儀屋さんは何も特別なことはない
草野さん:葬儀の仕事も、普通の商売と変わらないはずなんです。
値段の交渉もあっていい。特別なものは何も無い。数万で来て、これでなんとかしてくれないか?
というお客さんがきて頂ければ、それはそれで送って差し上げたい。
田畑:そうそう。対等じゃないイメージが葬儀屋さんにはある。
必ずやらなきゃいけないことだから。
今までの葬儀屋さんは、そこに甘えがある感じがする。
草野さん:そうですね。逆にね、お断りするお客もいますよ。
「お前、龕屋(ガンヤ)だろ。金払うからやれよ。」
っていうお客さんもいる。(ガン=棺桶/葬儀の昔の言い方)
この時は流石に断りますね。
満足葬儀は、お互いの気持ちだと思うんです。
そんな方と向き合って、全力で葬儀をやれるかというと出来ない。その時は断る場合もありますよ。
プライドを低くしてやる必要もないと思う。「御縁がなかったことで、、、」と丁寧にお断りします。
田畑:いろんなお客さんがいるんですね。ぜひ、サロンを展開していってください。応援致します。
時間をオーバーして申し訳ありませんでした。
インタビューはここまでとしたいと思います。ありがとうございました。
草野さん:はい、こちらこそ、ありがとうございました。
※話が盛り上がり、時間を大幅にオーバーしてしまったのにも関わらず、やさしく・楽しく対応して頂きました。
ありがとうございました!
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